想いをカタチに、空き家を活かしたシェアキッチン「kate & soi」

人図鑑

kate & soi(カテ&ソイ) 
菅井 幸子 さん

事業内容
シェアキッチン・ギャラリー・ショップの運営
デザイン事務所「オレンジワークス」のデザイナー兼イラストレーター

プロフィール
行田生まれ行田育ち。幼少期から絵を描くことが好きで、高校卒業後にバンタンデザイン研究所でショップ企画を学び、デザインスキルを磨く。デザイン事務所勤務を経てフリーランスとなり、グラフィックデザインや雑誌のイラスト制作に携わる。その後、地元・行田への想いが強まり、まちづくりNPOに参加。藍染体験工房の運営に関わるなど、地域文化の継承に尽力する。2025年2月、行田市に日替わりカフェを備えたシェアキッチン「kate&soi(カテ&ソイ)」をオープン。地域の人々の交流や新たな挑戦を支える場所づくりを行っている。

——菅井さんは行田のご出身なんですね?

はい。生まれも育ちも行田です。実家がフライ屋兼駄菓子屋さんでした。子供の頃は絵を描くのが好きでしたね。人見知りもありましたが、絵を描いていると楽しくて、ずっと続けていて。小学校高学年の時に職業を調べる授業があり、“デザイナー”という仕事があると知りました。その後、行田高校を卒業して、バンタンデザイン研究所という専門学校でショップ企画を学び、そこでイラストレーターやフォトショップなどのソフトの使い方も習得しました。

——デザインの道に進もうと思ったきっかけは?

やっていくうちに、デザインの仕事が向いているかもと思い、埼玉県内のデザイン事務所に就職しました。ただ、満員電車での通勤が辛くて、フリーランスになりました。東京でデザインの仕事をしながら、雑誌のイラストを定期的に描く仕事もしていました。締め切りに追われ大変でしたが、やりがいも感じていましたね。

——そこからまちづくりNPO活動に関わるようになった経緯を教えてください。

雑誌の仕事が一段落した頃、実家が地元密着型の商売をしていたこともあり、「これからは地元・行田のことをやりたい」と思ったんです。街並みや古い建物も好きなので、色々調べるうちに「カフェ閑居」に出会い、そこでオーナーの朽木さんと知り合いました。そのご縁で、足袋蔵を活用するNPOの活動に関わるようになり、後にNPOが運営する「牧禎舎」の藍染体験工房を担当するようになったんです。

——都内と行田を行き来する生活を続けていたとか?

はい。週末は行田で藍染体験工房を開館し、日曜日の夜に都内へ戻る生活を8年ほど続けました。周囲にも東京と行田を往復する人がいたので、それが特別大変とは思わなかったですね。

——シェアキッチンを始めようと思ったきっかけは?

もともと空き家の再利用に興味があり、空き家を見つけては色々な妄想をしていたんです。ちょうどこの場所が空き家になっていることを知ったタイミングで、埼玉県主催の商店街活性化事業のワークショップに友人から誘われて参加したのがきっかけですね。そこから構想が具体的になってきました。

また、NPOが運営する牧禎舎ではレンタルスペースがあるものの、飲食店の営業許可がないため、食べ物を作って営業できればもっと魅力的な場になると感じていました。

——オープンまでの道のりは?

この場所を活用したいと考え始めたのが3年前。当時はまだ自宅が都内だったので、なかなか本格的に動けず、行田で月イチでトークイベントを開催して仲間づくりをしていました。実際に動き出したのは2024年7月で、物件を正式に契約し、9月頃からDIYで改装を始めました。大事な部分は大工さんにお願いしましたが、予算を抑えるため、自分たちでできることは自分たちでやりました。壁を塗ったり床を張ったり、多くの仲間に手伝ってもらいましたね。

——ご主人は賛成でしたか?

賛成でした。夫は都内出身で、一緒にデザイン事務所をしています。行田のことも面白いと言ってくれて、むしろ夫の方が行田の情報を調べて私に教えてくれます。この度、夫の家族も一緒に行田に引っ越しました。

——店名の由来は?

「kate&soi(カテ&ソイ)」のカテは食糧の「糧」から、ソイは創意工夫の「創意」から取っています。行田には名産の青大豆もあるので「ソイ」と読ませています。

——どんなかたに利用してほしいですか?

頑張っている人を応援したいです。借りる場所がないかたや、遠方まで行ってスペースを確保しているかたが気軽に使えるようになればいいなと。一人でカフェなどをやるのは大変ですが、私が一緒にいることで少しでも心強く感じてもらえればと思っています。また、行田八幡神社の裏手という立地の良さを活かして、花手水や蔵めぐりの合間に一息つける場所になったら嬉しいですね。

——特徴はどんなところでしょうか?

1日単位で借りられる点ですね。飲食店営業許可と菓子製造許可を取っているので、ここで作った料理やお菓子を販売することができます。お客様も出店者を応援する雰囲気を大切にしてほしいです。カフェだけでなく、レンタルギャラリーも併設しているので、ハンドメイド作家さんが作品を展示販売したり、地元企業が自社のPRイベントを開催するスペースとしても活用できます。

——地域との連携についてはどうですか?

自分たちの活動があまり広がっていかないという悩みを抱えている市民活動団体もあるようです。そんな方々が気軽に集まってもらえる場所になればいいなと思っています。活動場所がカフェだったりすると、活動に興味のあるかたも気軽に一歩を踏み出せるのかなと。

——利用希望者はどうすれば申し込めますか?

現在準備中ですが、SNSで申し込み窓口を作り、まずは下見に来てもらい、どんなことをしたいかお聞きした上で登録していただく形を考えています。

——決まっている出店予定を教えてください。

3月8日(土)からの毎週土曜日には、市内農家の361VEGEさんが「831(ハチサンイチ)」というカフェを営業します。月末の日曜日には市民活動団体のmanabiyoriさんが発達障害カフェ「hananoka」を営業予定です。不定期ですが、市内飲食店のかんなやさんと鶴ヶ島のコーヒー店とのコラボ出店も予定していますよ。

——菅井さんのご趣味はありますか?

都内に住んでいた頃は銅版画を趣味にしていましたが、今は「BE:FIRST」というヴォーカルダンスグループにハマっています。彼らの事務所「BMSG」の活動も追いかけていますし、最近はガールズオーディションも開催されて、その番組も観て元気をもらっています。

——今後の目標を教えてください!

実際に運営が始まり、これからが本番です。人が立ち寄りやすく、「こんなことをやってみたい」という声を実際に形にできる場所になればと思っています。その環境を提供できるよう、私も精一杯サポートしていきたいです。たくさんの人に行田の魅力を知ってもらえる場所になれば嬉しいですね。

kate & soi (カテ&ソイ)

行田市旭町3-28
070-8452-2533
営業時間:11:00~18:00
営業日:金・土・日・月
※日によって営業時間や提供されるものが違います
 店頭やSNSをご確認ください
https://www.instagram.com/kate_soi_sharecafe

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