個室で堪能!絶品串焼きと出汁香る釜飯「串焼 和」

人図鑑

串焼 和(かず)
塩田 和彦さん

事業内容
焼き鳥と釜飯をメインとした和食の飲食業

プロフィール
群馬県館林市出身。館林市内の高校を卒業後、調理師専門学校へ。卒業後、大手会員制ホテルに就職し淡路島へ。ホテルを退職後、知人の紹介で行田の「無国籍料理かもん」で修行し、2014年11月に独立して「串焼 和」を開業。10周年を迎える前の2023年8月、新店舗へ移転オープン。

——料理の道に進もうと思ったきっかけはありますか?

学生の頃にアルバイトしていた飲食店が釜飯屋さんで、そこの社長の働く姿に憧れて料理人になりたいと思い、調理師専門学校に行って調理師になりました。

——調理師になって最初に働いたのは?

新卒だったので大きいところで働きたいと思い、大手会員制ホテルに就職しました。東京で働きたかったのですが、最初の配属先が兵庫県の淡路島になり、住み込みで半年くらい淡路島で修行しました。でも関西人の中に関東人が一人だったりして、人間関係など色々と大変だったので、地元に帰って働き直そうと思いました。忍耐力とか根性というものは、その時に随分鍛えられましたね。

——こちらに帰ってきてからは?

地元の館林付近でも働けるお店を探しましたが、ちょうど求人が無く、たまたま調理師学校の先生が行田の「無国籍料理かもん」を紹介してくれて、かもんの社長とお会いしました。お店の雰囲気も良かったですし、何よりオールジャンルの料理をやっていたので、和食にこだわらず料理を学べると思い、お世話になることに。当時の料理長さんの下で勉強し直しました。それをきっかけに行田に住むようになりましたね。

——いずれは独立したいと考えていましたか?

はい。かもんの社長さんにも「いずれは独立する気持ちがある。」と素直にお伝えしたら、それを快く受け入れてくれました。むしろ、そうであるべきだというお話をいただきました。7年間働きましたが、最後の2、3年は社長の許可をいただいて、朝コンビニでバイトして、夜はかもんの店長として…というのを続けていました。どうしてもお金が欲しかったので。

——行田で開業しようと思ったのは?

行田市という街が居心地よく感じていましたし、商工会議所の方が色々な場所を紹介してくださったり、行田市の支援で家賃半額補助というのが当時あったので、背中を押していただきました。

——不安はなかったですか?

行田市長野のシャトレーゼさんの側に良い場所が見つかったのですが、駐車場が無かったので当初周りからはすごく反対されました。でも、駐車場もなんとか6台確保できたので、そこから始めようと。30歳前には独立したいと決めていました。

——実際に開業してみてどうでしたか?

今年の11月で開業10周年になるのですが、あっという間でした。 もう無我夢中というか。地元出身ではないので、地域に馴染むまでの苦労はありましたが、焼き鳥を一生懸命1本1本刺して売っていくことで、美味しいと言ってもらえるようになり、評判が少しずつ変わっていったという感じでした。

——開業当初から従業員さんもいたのですか?

自分一人でやってると、気持ちをずっと強く保てないんじゃないかと。従業員を入れることによって、見られている立場に自分を置けば、より努力すると思ったので、最初から従業員を入れて開業しました。

——どんなお客様が多かったですか?

前の店舗はやっぱり男性客がダントツ多かったです。赤提灯のイメージが強かったですね。女性のお客様は2階の個室をご案内するかたちでしたが、個室が取れないとキャンセルということもありましたね。

——新店舗を建てようというお気持ちは昔からあったのですか?

ありました。ずっと借りているのは、どこかもったいないなって。ただ、旧店舗の場所からあまり離れたくなかったので、たまたますぐ近くに土地をお譲りいただいて、そういう意味ではチャンスだと思いました。

——その頃って、コロナ禍でしたよね?

本当はもう少し早い時期に新店舗を建てようと思っていましたが、ちょうどコロナ禍になってしまって、一度は諦めました。でもその期間ずっとテイクアウトをやっていたので、コロナが落ち着き始めた時にお客さんが比較的すぐ戻ってきてくださったんです。嬉しかったです。それならもう一回勝負しようと。

やはり時代は変わっていくので、その時々で飲食店が求められている背景に合わせていかなければと思ったとき、まず浮かんだのが「安心安全」でした。なので、新店舗はカウンター以外、全部屋個室という対応を取りました。

——他にこだわったことはありますか?

お食事のお客様が今後増えていくだろうなというイメージもあったので、ご家族で食事できるお店として選ばれるためには、焼き鳥だけでなく食事物がもう一つメインとしてないと難しいと思いました。そこで釜飯を導入して、焼き鳥と釜飯の二本柱でやっていこうと。もっと女性やご家族様にも焼き鳥を楽しんでいただきたいという思いで新店舗を建てました。

あとは、入口を段差のない広めのアプローチにしてバリアフリー化にしたり、個室の扉を外してワンフロアーにすると25名入れますし、座敷の方は15名入れますので、大小の宴会も兼ね合いができるように考えました。

——新店舗に移転して、お客様の反応はどうですか?

「行田に住んでいるけど前のお店を知らなかった。」という新規のお客様の反応がかなり多かったです。やっぱり外観(赤提灯)の雰囲気で入らない方が多いのかな思いましたね。新店舗のほうは、綺麗なイメージをもっていただけたようで、入りやすいというのが反応のひとつでした。夜に関してはファミリー層や女性のお客様が増えて、ランチは釜飯メインでやらせてもらっているので、特に新規の女性のお客様が増えましたね。法事で使っていただけることも多くなりました。

——厨房にも最新設備を導入されたとお聞きしましたが?

どこのお店もそうだと思いますけど、料理人の人手不足が目立ってきていますよね。誰が作ってもある程度安定した料理が提供できるようにと考えた時に、スチームコンベクションがあれば従業員の負担軽減にもなると思って、導入しました。実際に使ってみて、茶碗蒸しからピザまでできて、セットして扉を閉めれば側にずっとついている必要がないので、本当にオペレーションが楽になりましたよ。

——焼き鳥の仕込みも結構大変でしょう?

そうですね。昼はランチ営業しながら、従業員一人はずっと串打ちをしています。なので昼は焼き鳥の提供はできないんですけど、このこだわりは捨てていません。

——焼き鳥・釜飯のこだわりは?

全て国産の鶏肉を使って、その日入荷したものをその日にさばける分だけを刺して提供しています。遅い時間だと売り切れということが起きてしまいますが、やっぱりフレッシュなものを、その日の分だけさばいていくのが一番いいのかなと思って、ずっと変わらずやっています。その部位ごとに一番美味しい状態になるように焼き加減も変えて、というこだわりもあります。

釜飯は出汁からしっかり炊いて、米も前日から寝かせていて、比較的短時間で炊けるようにしています。他店だとおそらく40分くらいかかってしまうところを、半分の20分で提供できるように仕込みに手を加える工夫をしていますね。

——お店の人気メニュー・塩田さんのイチオシは何ですか?

人気なのは、もちろん焼き鳥と釜飯なんですけど、一番出ているのがだし巻き卵です。オーダーをいただいてから巻いているので多少お時間がかかりますが、だし巻き卵はめちゃめちゃ出ますね!週末は10本近く巻くことも多いです。
自分のイチオシは、焼き鳥の鶏レバーですね。他では食べられないのかなと思います。

——お店には何人くらいのスタッフさんが?

今は従業員2人とアルバイトさん数名でやらせていただいています。昼の営業は奥さんにも手伝ってもらっていますが、スタッフの休憩の時間だったり、休日のバランスも大事だと思いますので、うまくローテーションで回して定休日以外にもお休みを作るようにしています。

——スタッフさんにどんな思いで仕事をしてもらっていますか?

従業員に関しては、自分のお店だと思って働いていただきたいという思いです。あとは、料理だけできていれば良いということではなくて、本当に人として成長する上で必要だと思うことは時に厳しく伝えています。どこに行っても恥ずかしくないような社会人を育てていきたいというのは当初から思っていました。特に営業時間外の仕込みの時は、従業員と色々コミュニケーションを取るように心がけていますね。お世話になった、かもんの社長の教えでもあり、それをずっと続けている感じです。

——今、ご苦労されていることはありますか?

物価高で物の値段が上がっていますし、アルバイトさんも高時給でないと入ってきてくれません。かといって、お客様へ提供するメニューの値上げを急にはできないので、そのバランスを見るのがすごく難しいですね。今ここが我慢のしどころかな。

——行田青年会議所でも来年度の理事長就任予定とお聞きしましたが?

行田でお店を構える調理師学校時代の同級生から誘われて、青年会議所に入会し、今年で8年目になります。諸先輩方にすごく可愛がっていただいて、どこかで恩返しがしたいと思って理事長の職をお預かりすることを決意しました。しかしお店があるので、そこのバランスもすごく悩みました。私自身、厨房でプレイヤーとしてやっている自分と、外に出て経営者としての自分を考えた時に、どちらもこなして成長する機会を与えてもらえるタイミングなのだと思いました。

——今後の展望がありましたら教えてください。

このお店は一から建てちゃったので、一生やっていくと思うんですけど、地元館林の同級生が「いつかは帰ってきて、こっちでやってくれよ。」とずっと言ってくれているので、いずれタイミングがあれば、館林でカウンターだけの焼き鳥屋をやってみてもいいかなと思ったりしています。

串焼 和(かず))
埼玉県行田市桜町2-17-25
048-553-7335
営業時間:11:30~14:00 (L.O. 13:30)/ 17:30~22:30 (L.O. 22:00)
定休日:月曜日(祝日は営業)
https://www.instagram.com/kushiyaki.kazu/

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