伝統の足袋蔵で堪能する手打ち蕎麦と旬の和食「蕎麦 あんど」

人図鑑

蕎麦 あんど
樽見 勝儀さん

事業内容
蕎麦・創作和食ダイニングの経営

プロフィール
行田生まれ行田育ち。高校卒業後、家業を手伝っていたが、自分でお店をやりたいと東京恵比寿にある日本料理店に修行に入る。そこで一から料理を覚え10数年後、系列店の蕎麦屋で働くことになる。3年間蕎麦の腕を磨き、2014年故郷の行田で「蕎麦 あんど」を開業。今年で10周年となる。

——自分でお店をやりたいと思ったきっかけは?

高校卒業後、実家が自営業をやっていて手伝っていたんですが、兄もいたので自分は違う道に行こうと思ったのがきっかけですね。サラリーマンタイプではなかったので、何か自分のお店がやりたいと思いました。まずは居酒屋を目指していたので、それだったら東京に出た方がいいと思って、東京に出ました。もともと食事を作ることは好きでしたが、経験がなかったものの、恵比寿の日本料理店に修行に入らせてもらえることになり、そこで一から教えてもらい、日本料理をひと通り覚えました。

——修行時代はどうでしたか?

最初まだ何もできない時は大変でしたけど、まだ若かったしね。それよりも店長になってからの方が大変でしたね。お店を切り盛りして、常に新しいメニューを考えて提供する、そのプレッシャーがありました。

——日本料理店からお蕎麦屋さんになったのは?

働いていた日本料理店のオーナーさんが中目黒で蕎麦屋さんを出すことになり、今度はそっちに行ってくれと頼まれたんです。自分はまだ蕎麦を打ったことがなかったので、「一茶庵手打ちそば教室」という、全国の有名繁盛店を輩出している教室が神奈川にあるのですが、そこで蕎麦打ちを学んだ後、中目黒の蕎麦屋で3年ほど働きました。

——行田で開業しようとなった時、「奥貫蔵」との出会いは?

一番最初に東京へ出た時から、いずれは行田でお店を開業したい気持ちはずっと持っていました。いざ行田に戻って蕎麦屋をやろうとなった時、まずは古民家を探していたのですが、なかなか見つからなくて。そんな時、行田足袋蔵ネットワークの朽木さんがこの「奥貫蔵」を紹介してくれたんです。朽木さんも長年、蔵の大家さんに誰かいないかと相談を受けていたそうですが、なかなか合致しなかったそうで。僕はここを紹介してもらって、一目で気に入ってしまって!イメージしている事ができるなと思いました。その経緯もあって、改装の設計も朽木さんにお願いしました。

——改装は大がかりだったのですか?

そうですね。厨房や吊戸棚などはこんな感じで…などある程度要望を伝えて、後は朽木さんにお任せしました。当初の予算より結構費用はかかりましたけど、蔵の改装支援として行田市から250万円くらいの補助金が出たんです。それがかなり大きな助けになりましたよね。あと、月々5万円の家賃補助が3年間受けられたので、それも大きかったです。

——お店作りでこだわったことは何ですか?

“体に美味しい”をコンセプトにしていまして、天然素材の蔵という空間で、素材にこだわった蕎麦・お料理・お酒を提供し、来てくださったお客様に安堵「あんど」して頂きたいという思いでお店をつくりました。

——蕎麦や創作料理へのこだわりは?

そば粉は季節によって変えたりもしますが、安定してずっと続けているのは信州のそば粉です。喉越しだったり、香りのバランスを考えて基本的には二八蕎麦にしています。創作料理に関しては、お客様は旬なものをお求めになるので、常に旬な食材を置くようにしています。自分は和食の経験が長いので、普通の蕎麦屋さんではなくて、旬な食材を使った和食を食べてもらって、なかなか他では味わえないお酒を飲んでもらって、シメに自分の打った手打ち蕎麦を食べてもらえたら嬉しいですね。

——人気メニューは何ですか?

お蕎麦は一番出るんですけど、夏の今はやっぱり“すだち蕎麦”が人気です。すだちをふんだんに使った冷かけの蕎麦なんですが、この時期待ち望んでくださるお客様が結構いて、まだですか?って聞かれる事も多いです。また、うちの看板メニューが鴨なので、鴨のたたき・鴨のロース焼・鴨のメンチカツは人気メニューですね。

——お酒にもこだわりが?

お酒は純米酒にこだわっています。アルコール添加がなく、米と米麹、水だけが原料のお酒が“純米酒”です。自分的にはアルコール添加は体にいいと思っていないので、純米酒だけを置いています。純米酒のパイオニアと言われている蔵が埼玉県蓮田市にあって、神亀酒造というのですが、そこの純米酒を中心に仕入れています。日本酒の他にも、ビールやワインもご用意しています。

——お店の調度品やお花も素敵ですね!

お店のディスプレイとお花は、基本的に全部妻がやっています。妻は、雑貨屋さん・花屋さんで働いていた事があり、その経験を生かして色々気を遣ってやってくれていますよ。特に女性のお客様は、お花を楽しみに来てくださる方も結構いるので、季節に合わせて工夫しているようです。

——お店は、樽見さんと奥様とお二人で?

私が、主に調理を担当し、妻が補助的に入っています。また、接客のパート・アルバイトさんに常に2人入ってもらっています。全部で8人くらいのスタッフさんにシフトでお願いしています。

——今ご苦労されていることはありますか?

やっぱり一番苦労しているのは、スタッフさんの確保ですね。昼間のパートさんは長い間ずっと続けてくださっているのですが、夜のアルバイトさんは学生が多いので、学校を卒業するタイミングでまた新しく募集をかけて、という常にその繰り返しですね。2階に席もあるので、土日は常に2人いないと接客が間に合わなくなってしまうので、その辺がなかなか大変です。

——それだけお店が繁盛しているのですね!お客様は固定客の方が多いですか?

おかげさまで安定してお客様が来てくだって、ありがたい限りです。夜は常連さんが多いですが、昼は観光でいらしたお客様も多いですね。土日はお待ちいただくこともありまして。行田市で毎月行われている花手水の影響も大きいと思います。

——お店の外に、とても印象的な植物がありますが?

そうなんです。数十年に一度だけ花を咲かせるという「リュウゼツラン」という植物なのですが、もうすぐ開花しそうなんです。妻が、たまたまそこにスペースが空いていたので、宮崎県から取り寄せて植えました。まさか自分が生きている間に花が咲くとは思っていなかったみたいです。8年前に植えたときは、最初は小さかったのが、環境が良かったのか気が付いたらこんな大きくなって。今年の4月くらいから茎がどんどん伸びてきたんです。茎の伸びが止まって、今度は横に広がってきているので、いよいよ花が咲くぞという感じです。

——咲いたらどのくらい持つのでしょうか?

よくお客様にも聞かれますが、自分らも初めてのことでよく分からないんですけど、咲いたら多分何週間は咲いていると思います。それで、一度咲いたら枯れちゃうみたいですからね。でも、隣に小株ができているので、次の世代に繋がるかもしれないですね。ちょうどお店も10周年なので、いい記念になったなと。タイミングが合えば、ぜひ見てみてください。

——樽見さん、お休みの日はどんなふうに過ごされているのですか?

年中やっている趣味ではないですが、ゴルフや釣りやハイキングに出かけたりしますね。あとは今一番よく行くのが、サウナです。色々な所に行きますが、最近は久喜の方によく行きます。疲れた時など、サウナでリラックスしていますよ。

——今後の展望がありましたら教えてください。

なかなか今お店が忙しくて進められてはいないのですが、和菓子のカフェをこのお店の近くでやれたらいいなと思ってはいます。この辺りでは最近カフェが増えていますが、和のカフェはあまりないので、いい場所と人材が見つかれば、クリームぜんざいなど和のスウィーツを楽しんでいただけるようなお店をやってみたいですね。

蕎麦 あんど
行田市天満3-13
048-553-3110
営業時間:11:30〜14:00 / 17:30〜21:30
定休日:月曜日、第2・4火曜日
http://www.soba-and.com/
https://www.instagram.com/soba_and

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