直火焙煎の技が生み出す、至極の味わい「直火焙煎珈琲まめや忍(おし)」

人図鑑

直火焙煎珈琲まめやおし
河野 直仁さん

事業内容
コーヒー豆の販売・店内喫茶の運営

プロフィール
1984年8月生まれ39歳、行田市出身、2児の父。大学中退後、アパレル関係の仕事に10年就き、30歳の時にコーヒー店へ転職。2年間勤めた後、某百貨店に就職。1年後、やはり好きなことをやりたい!と、行田に戻り2017年11月、コーヒー豆専門店を開業。

——河野さん、オシャレな雰囲気なのはアパレル関係にお勤めだったのですね?

アパレル関係の仕事にトータルで10年勤め、管理職までやったのですが、人と話すのが好きでした。自分の見立てたコーディネートを長年ひいきにしてくれるお客さんがいて、そういうお客さんが来店すると、ずっとお話ししながらの接客になり、日々のマネージャー業務が全く追い付かなくて。休みの日はコーヒー屋さんに入り浸ってデスクワークをしていましたね。

——その頃からコーヒーがお好きに?

はい、もっとさかのぼると、幼少期から両親に喫茶店に連れていかれて、家でもコーヒーが身近にある環境で育ちました。朝から晩までアパレルの仕事をして、休日には喫茶店やカフェで残務整理をしているうちに、コーヒーがある空間を提供できる仕事っていいなと思うようになりました。
自分でコーヒーを淹れるようになり、味にもこだわるようになって、自分が好きな美味しいコーヒーは、こういう風にやると美味しくなるというのが何となく分かってきました。

——どこかで修行されたのですか?

独学ではやっていましたが、ちゃんとお客さんに代金をもらってコーヒーを淹れるってことを経験したいと思ったので、10年間のアパレルでのキャリアは全部投げ捨て、自分の好きだったコーヒー屋さん(喫茶店)に転職しました。2年間そこで働きながら、コーヒーマイスターという資格も取りました。

——それはどんな資格なのですか?

一般社団法人日本スペシャルコーヒー協会(SCAJ)が主催する養成講座を修了し、試験に合格して認定される資格です。コーヒーって黒い液体じゃないですか。この一杯の黒いコーヒーになるまでに、色々なプロセスがあってそれを勉強しました。おひとりおひとりに合った美味しいコーヒーを提供する資格的な感じですね。

——資格を取得して、開業という運びになったのですか?

いえ、一度は諸事情もあり、コーヒー店で独立というのを諦めて、都内の某百貨店に就職したのですが、働いているうちにやっぱりコーヒー店をやりたい!という気持ちがフツフツと湧いてきたんです。それでまた色んなカフェにも行くようなり、当時住んでいた横浜のコーヒー屋さんで百貨店のお休みを使って、修行させてもらいました。そこでは講座を受け、コーヒー豆を自分で焙煎して、このくらいで煎りを止めるとか、すごく難しいところだったのですが、焙煎について学びました。百貨店に1年勤めた後、地元の行田に戻ってきて2017年11月に開業しました。

——どうして行田で開業しようと思ったのですか?

自分が地元に戻ってきた時に、コーヒー豆を購入できるところが行田にはなかったので、行田でお店をやってみたらどうかと思ったのがきっかけですね。プラスして行田が好きだったからっていうのもあると思います。それにご縁があって、お店を出せるところを探していた時に、ここを借りているオーナーさんが元々居酒屋さんを経営していて、業務用の冷蔵庫や製氷機など購入するとなるとすごく高価なものを全部くれたんですよね。それも追い風になってここでお店を始めることにしました。開業資金などはあまり考えていなくて、通帳がほぼゼロになりましたし。それでも、やってみたい!小舟を漕ぎ出しました、という感じです。

——開業するにあたり、行政などの支援がありましたか?

ありました。行田市の方で起業家支援というのがありましたので、改修費で最大50万円補助してくれるのと、家賃補助が3年間半額っていう制度を使わせていただきました。

——お店の名前の由来は?

横浜で修行していたコーヒー屋さんが「まめや」というお店なんです。それをそのまま使ってもいいとお許しを得たので、「直火焙煎珈琲まめやおし」にしました。

——何種類くらいのコーヒー豆を取り扱っているのですか?

コーヒー豆は25種類で、プラスこれから少し増やして30種類くらいになる予定です。基本的には海外から買い付けている問屋さんがあるので、そこから仕入れています。馴染みのある銘柄を定番に、それとまた違う対照的な豆、尚且つ僕が好きな豆、お客様が好きそうだなと思う豆を厳選しています。一度仕入れて自分で焙煎して飲んでみて、これは!と思った豆だけを店頭にラインナップとして並べています。

——そもそもなんですけど、コーヒー一杯になるまでにどんな過程があるのですか?

簡単に説明すると、赤道直下・南北20度にコーヒーベルトという地帯があって、その地帯でコーヒー豆が栽培されています。コーヒーの木に赤い実をつけて、その実を収穫して、果肉の部分を剥がすと種が出てきます。その種のパーチメントという硬い殻を脱穀すると、中にある種子がコーヒー豆です。この種子を現地で洗ったり乾かしたりして、コーヒーの生豆が仕上がります。それが、麻袋にドカンと入って、船便で日本に来るんですよね。それを僕のような焙煎士が豆を焙煎して、ミルで挽いて抽出して、一杯のコーヒーになります。

——河野さんのこだわりは?

コーヒー豆って焙煎した瞬間から劣化が始まっていくんです。焙煎してから日にちの経っていないコーヒー豆で淹れると、華やかな香りが楽しめますので、そのフレッシュさを大事にしています。また勉強をしていく中で、美味しい一杯のコーヒーというのは、人それぞれ感覚が違っていて、これは焙煎の強さ、火の入れ方によって決められていくものだというところまで辿り着きました。お客様おひとりおひとりの好みに合ったコーヒー豆を提供したいと思ったので、生豆の状態で店頭に陳列して、それをそのお客様ごとにオーダーメイドで好みを伺い焙煎の強さを決めてもらって、それを僕が焙煎させてもらってご提供しております。そして、お客様ひとりひとりに合った美味しいコーヒーで、ほっこりというか幸せ感を持てるような、そんなコーヒーを淹れていきたいと常に心がけています。

——一番のオススメは?

好みは本当に人それぞれなのですが、オススメはと言われたら“まめやおしブレンド”。クセが無くバランスの良い味わいです。あと、夏場でしたら“まめやおしアイスブレンド”ですね!ブラジルをベースに何種類かオリジナルでブレンドしています。ラテやカフェ・オレにもバッチリです。

——店内にカフェも併設されているのですね!

はい。コーヒーとスイーツをご用意しています。コーヒーゼリーは自家製で、それ以外のケーキは厳選して仕入れています。コーヒーの他にココアやジュースもあります。

——どのようなお客様が多いですか?

新しいお客様もいらしてくださいますが、おかげさまで常連さんに恵まれておりまして、7、8割は常連さんです。若い方から幅広いですが、どの皆様も最高です!

——お店をやっていくうえでご苦労されていることはありますか?

今ですね、コーヒー豆が高騰しております。しんどいです(汗)。なかなか値上げに踏み切れないでいますが、いよいよせざるを得ないかなと思っております。一杯500円でコーヒーを飲める時代じゃなくなってきてしまいましたよね…。

——先日の5月30日にリニューアルオープンされたそうですが、リニューアルのポイントは?

そこまでは大きく変えていないのですが、動線を改善して、店内の喫茶スペースが少しゆったりしたところがポイントです。国の持続化補助金の審査が通り、使わせてもらいました。

——そういえば、まめや忍さんて、2年くらい前にNHKの鶴瓶さんの番組に出て話題になりましたよね!

はい。本当に偶然お店の前を撮影隊が通りかかって、スタッフさんに聞いたら、声かけてあげてくださいって言うんで、道の反対側に渡った鶴瓶さんに「鶴瓶さん、コーヒー飲んでってー」って言ったら、来てくれたんです。その時、たまたま忍城おもてなし甲冑隊のお殿様もコーヒー買いに来てくれて…色々な偶然が重なりました。奥さんと娘も登場させてもらって。その効果は本当に絶大で!!その後、関東一円からたくさんの方が来てくれました。多くの方にお店を知っていただけたきっかけになったので、鶴瓶師匠のおかげですね!

——今後、挑戦したいこと・展望がありましたら教えてください。

特に、展望とか野望とかあまりないんです。このままここで長くやれればいいなって。ずっと地に足をつけて、何かあっても踏ん張れるような感じでいたいなと。もちろん、自分の中ではちょっと変化を起こして、仕入れ先や銘柄を変えてみたりとか、お店のレイアウトを変えたりとかはしていきたいです。
あとは、僕の仕事、お店を評価してくれて、教えて欲しいと門を叩いてくる人もいて、そういう方には惜しみなくノウハウを教えていきたいですね。既に数店舗、教えた方たちがお店を構えていて、今後もコーヒー店を起業したいという人には教えていきたいなと思っています。
個人店でこだわりのコーヒー屋さんて、何だか入りづらいとか時々言われますけど、全然堅物な感じの人間でもなくて、フランクにやっているつもりなんです。店内でも飲めるし、テイクアウトもできるし、コーヒー豆も買えるので、美味しいコーヒー飲みたいなという時は、ぜひ気軽にのれんをくぐってきてください。商談なんかにも使っていただけるスペースもありますので。

——行田で起業を考えている方への応援メッセージを宜しくお願いします!

行田を離れた方にぜひ戻ってきてもらいたいです。僕も一度社会に出て行田を離れましたけど、戻ってきて気づいたらいつの間にか消滅可能性都市とか言われていますよね。元気のない印象ですけど、そんなことないし、行田には凄い人がたくさんいます!それに行田の人って基本温かいから、地元ですっていうことですごく可愛がってくれるイメージもあります。20代のような若い人が、お店を持っちゃうとかでも全然いいと思います。行田市は起業したい方への支援も整えてますし、生まれ育った街で好きなことをやれるように、ぜひ戻ってきてもらってどんどん起業していってほしいですね。

直火焙煎珈琲 まめやおし
行田市忍1-9-2
048-598-4815
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
https://www.facebook.com/mameya2017/
https://www.instagram.com/mameya.oshi

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