クリーズコーヒーハウス
栗原 博之さん
事業内容
自家焙煎コーヒー豆の販売
カフェ経営
プロフィール
宮城県仙台市生まれ。父親の転勤で、札幌、横浜へ。音楽好きな両親の影響で3歳からピアノを習い、10歳からギターを始める。高校1年で芸能界に入り、9年間音楽活動をする。その後、福岡で一般の職に就く。50歳の時に退職し、家族で埼玉へ移住。プロとしての音楽活動も再開し、2024年5月「クリーズコーヒーハウス」を開業。
——生い立ちについて教えてください。
生まれたのは宮城県の仙台市なんですけれども、父がサラリーマンで転勤族だったので、札幌、横浜に住みました。音楽好きの両親の影響で、3歳からピアノを習い、10歳でギターを始めました。自分も音楽が大好きでしたね。高校1年の時に、「ザ・ヴィーナス」というバンドのキーボードを弾いている方の弟子に入り、付き人をしながらキーボードを教えていただき、それからレコード会社に所属しました。そのレコード会社のタレントさんの後ろで弾くという仕事をしていました。高校1年から24歳くらいまで、芸能界で9年間音楽活動をやりました。
——九州の福岡へ行かれたのは?
24歳のある時、うちの父から「9年いたらもう芸能人生の裏も表も見ただろう。自分が40歳になった時に家が建てられるかどうかを考えたことがあるか?」と。家庭が持てるかという話になって、そろそろ真面目な仕事をしろということになりました。それで、仕方なくどうしようかと思っていた時にたまたま福岡で仕事が見つかり、音楽を辞めて福岡で一般の職業に就きました。
——音楽活動を再開するきっかけがあったのですか?
疲れや血圧の影響もあって、42歳の時に脳梗塞になりまして、職場で倒れました。身体の片側半分が動かなくなり、1年半リハビリしたんです。脳梗塞をやったのを機に、また音楽の世界に戻りたい気持ちがだんだん湧いてきました。仕事を続けながら、趣味の範囲でということで、昔一緒に音楽をやっていた仲間に連絡して、またやりたい気持ちを伝えると、「クリちゃんがやるならやろう!」という話になって。それで、その方が九州を回るときに一緒にライブをやったり、都内でも少し活動しました。50歳の時に自分の人生を考えて、退職しました。
——それで、関東に戻ることに?
はい、音楽の世界にも戻って「クールス」のジェームス藤木さんや「M-BAND」の皆さんに可愛がっていただき、「キャロル」のギターリストだった内海利勝さんや、色々な方々と一緒に音楽活動させていただいております。
最初は元々住んでいた横浜に戻ろうと思って探しましたが、当時の横浜とはガラッと変わっていました。土地も高くなっていてあまりに予算に合わないので、行田に住んでいた娘に家を建てたいので場所を探してくれと頼んだんです。そしたら、上尾は池袋に近いし良いんじゃないって勧めてくれたので、一度上尾に移って、本当にどこに建てようか考えることにしました。福岡の自宅もタイミング良く売却できて、2021年に上尾に引っ越しました。
——娘さんは当時、行田ものつくり大学に在学中だったのですよね?
福岡に住んでいた当時、高校生だった娘が大学で建築を学びたいと進路を考えている際に、テレビの情報番組で行田の「ものつくり大学」が出ているのを見たんです。興味を持って、僕も娘と一緒に飛行機で体験入学に来ました。でも、あまりに遠すぎるのでここはやめようという話になったのですが、また別のテレビ番組で、ものつくり大学をやったんです!2回も流れました。それで、娘がもう一度とにかく行ってきたいと、今度はうちの家内と一緒に。福岡に帰ってきて、もの大にやっぱり行く!と。その時に娘が言ったのは、「他のところは模型を作ったり図面だけでやっているけれど、もの大は本物の家を建てさせてくれる。だから建てている職人さんの気持ちが分かる。」と。確かにそうだなと思って、もの大に進学することに決め、行田へ送り出しました。
——栗原さんがコーヒーの焙煎に出会ったのは?
2019年に友人がコーヒー豆の販売をやるということで、焙煎士の先生のところに一緒に行こうと誘われたのがきっかけです。そこからコーヒーにハマり、1年半通って、焙煎の技術や淹れ方を学びました。
——上尾に来てから、家を建てる場所探しを?
上尾で本格的に場所を探し始めた頃、土地や資材の価格が上がってきていて、上尾では予算がやっぱり合わなくて、高崎線沿線を順に考えていったのですが…。そんな時に娘が「お父さん、行田に来たら?すごく住みやすいし、良いところだよ。」と。それで、行田市内で探してみようと、不動産屋さんに数件紹介してもらって、最終的にカフェ兼自宅をここに建てることにしました。
——奥様はご賛成でしたか?
うちの家内は、何をする時にも反対はしないんですよ。絶対に「良いんじゃない。」と言ってくれる人なので…。感謝しています。
——家づくりは順調に進みましたか?
1階をカフェで2階を住居にと決めて、住宅メーカーを探したんですが、なかなか店舗兼住宅を建てられるところが無くて。資材関係も値上がりしてきたので、どうしようかと考えていた時、建築を学んでいた娘が設計をしてくれることになりました。
——お父さんの店を娘さんが設計するなんて素敵ですね!
娘は当時ものつくり大学の大学院に在籍していたので、大学院の先生にも相談し、結果的に大学院の卒業論文にすることに。外見は「行田市の蔵を今風に」というテーマに決まり、娘と大学の先生に全てをお任せして、この家が完成しました。僕が出した要望は、1階をカフェにするという事と、防音完備にするということだけです。
——お店づくりでこだわった部分はどんなところですか?
これは僕というより娘のこだわりになると思いますが、白を基調として落ち着く優しい雰囲気づくりをしようというコンセプトを持ちました。とにかく明るい店舗にと、窓も大きめにして。僕自身は最初割とアメリカンなイメージを持っていて、床は白黒のタイルを貼ってとか、椅子も赤白で…と思っていたのですが、見事に却下されました(笑)。今思うと、これで良かったというところですね。
——実際に住んでみてどうですか?
家そのものも凄くいいですよ!住みやすいですね。それに、行田という街自体が住みやすいという気がします。程良いほのぼの感がありつつ、街が整備されていますよね。地域の方も温かいなって凄く感じます。そこがとても良いなと思います。
——今はミュージシャンをやりながらのカフェ経営を?
はい、せっかく焙煎やドリップについて学んだので、それを活かせたらと思いますし、ミュージシャンとカフェ経営を自分でコントロールしながらというかたちですね。
——店名の由来は?
僕のバンドの名前が「KURI’S(クリーズ)」なんです。6人で組んでいて、僕はギターとヴォーカルをやっていました。今はなかなか集まれないんですけどね。お店の名前は、そのままバンド名から「クリーズコーヒーハウス」と名付けました。
——カフェではどんなコーヒーがいただけますか?
基本的にホットは苦味と酸味の区別をきちんとつけて、お客様の好みに合わせています。コーヒー豆を自家焙煎して、美味しく淹れてお客様にご提供できるように気をかけていますね。メニューのラインナップも色々研究して増えてきました。すごくヒットしたのは、コーヒーバナナジュースです。自家焙煎コーヒーに、産地の違う2種類の厳選されたバナナを使って、ちょっと大人味のコーヒーバナナジュースに仕上げました。
軽食としては、ホットックという韓国発祥のモチモチとしたホットケーキのようなスイーツや季節に合ったケーキをご用意しています。その他に、自家焙煎豆も販売しています。
——音楽ライブなども開催されているのですか?
定期的に開催しているというわけではないのですが、うちの店は防音してあるので、誰でも演奏したい方はどうぞというスタンスでやっています。特にライブハウスでもないので、 集客を何人してくださいという事もありません。コーヒーを楽しんでいる他のお客様もいらっしゃいますけど、演奏したいご希望があればどうぞ使ってくださいという感じです。もし貸切りにしたい場合は、ご相談していただければと思います。
——開業してもうすぐ半年になりますが、どうですか?
色々な地元の方に可愛がっていただけて、程よく順調です。開業前は心配などたくさんありましたけど、地域の方に本当に支えられているなと強く感じています。地元出身ではありませんが、娘がものつくり大学でお世話になった経緯もあって、皆さん自分の事を知ってくださっていて、ありがたいですね。
——綺麗なバイクが店内に飾ってありますね!
自分は車よりもバイクが先なんです。こちらに来た時に新しいバイクを購入しました。でも今まで暑すぎて、まだ点検に行くくらいしか乗れていないんですよ。基本的にひとりでツーリングを楽しむのが好きですね。
——今後やってみたい事など、展望がありましたら教えてください。
まずは、やっぱりきちんとお店を固定することですね。その上で、地域活性化に役立てることをやっていきたいと考えています。その一つとして、行田にある4店舗のカフェを回りながら街を練り歩いていただけるスタンプラリーを企画しました。これをもう少し広げていきたいです。地域が盛り上がるって嬉しいですよね。せっかく縁あって行田に住んで、これからもずっと行田で暮らしていくと思うので、自分はどんなことで社会貢献できるのか、失敗を恐れず前向きに考えて行動していけたらと思っています。
クリーズコーヒーハウス
埼玉県行田市天満1-65
070-8539-1786
営業時間: 7:30~9:00「朝カフェ」/12:30~18:00オープン
定休日 : 木曜日(変更あり)
※営業時間・定休日の変更等は公式インスタグラムをご確認ください。
https://www.instagram.com/kuris_coffee_house