pan prosper (パン プロスパー)
中嶋 栄二さん
事業内容
パンの販売
焼き菓子の販売(2024年9月中旬から)
プロフィール
行田生まれ行田育ち、45歳。市内の小中学校卒業後、羽生の高校へ。神奈川県内の大学を中退し、厚木市のパン屋で働き始める。その後、数店のパン屋で働きながらパン作りの腕を磨き、30歳の時行田に戻る。準備期間を経て、2020年12月に「pan prosper(パン プロスパー)」を開業。
——パン屋をやろうと思ったきっかけはありますか?
それがですね、今もですが自分はパンを食べるのがそこまで好きではないんです。なので、始めるまではパン屋さんにも行ったことがないくらい。大学を中退してしまって、そこから何をやろうかと考えて、当時は飲食店のバイトをしていたのですが、より専門性の強いものをやりたいと思って、パン屋で働き始めました。
——パン作りをやってみてどうでしたか?
想像していたより、長時間労働だったのでちょっと大変でした。一番短いところでも12時間労働でしたし、長いところでは20時間とか…。でも、パン作りは楽しかったので自分には向いているなと思いましたね。
——行田での開業は考えていたのですか?
行田には戻らないつもりだったのですが、祖父と祖母が亡くなったタイミングもあり、戻って来ることにしました。やっていくうちに、自分で作りたいものを作るという想いが強くなり、開業を考え始めました。
——このお店はご自身で建てられたのですか?
いえ、当時まだ建物ができていませんでしたが、こういうのを建てますということで、テナント募集をしていたんです。ちょうど開業できる場所を探していて、自宅も近かったので、申し込みました。新築でとても綺麗なのでここで開業できて良かったと思っています。
——お店の名前「pan prosper(パン プロスパー)」の由来を教えてください!
「prosper」は英語で「栄える」という意味です。この土地が行田市栄町というのと、自分の名前に「栄」の字があることから、お店の繁栄を願って「prosper」を使おうと。そこに「pan」を合わせて名付けました。
——お店のロゴも素敵ですね!
麦をモチーフにしています。ランサーズというクラウドソーシングで募集して、気に入ったのを採用しました。
——毎日何種類くらいのパンが並んでいますか?
種類が多少変わることもありますが、毎日約55種類のパンを焼いています。お客様に好きなパンを選んでほしいと思って、やっていくうちに増えていったんですよね。需要があれば3つでも作ります。採算が取れないっていうのはありますが、喜んでほしい気持ちのほうが強くて。あと、パン屋さんは早い時間で売り切れてしまうとか多いと思うんですけど、やっぱり仕事終わりで来てくれるお客様もいるので、遅い時間でもできるだけ売り切れにならない量を作りたいと思ってやっています。
——人気商品を教えてください!
「湯種食パン」「クリームパン」「クロワッサン」ですね!
湯種食パンは、パン生地に使用する小麦粉の一部に熱湯を加えてこねて湯種をつくり、それを混ぜ込んでいます。甘みも増しますし、他にも乳酸菌を入れたり、もっちりしながらも口どけが良くなるように意識して作っています。クロワッサンは長く材料を合わせることで乾燥しにくくなるよう工夫しています。クリームパンもクロワッサンの生地を使っていて、なめらかなクリームを入れています。
——中嶋さんの推しパンはどれですか?
「チャバタ」というイタリア由来の白いパンです。若い頃に雑誌でこのパンを見て、こんな作り方があるんだと、自分でお店をやるときは作りたいとずっと思っていました。高加水で通常のパンより水を多めに入れて仕込んでいるので、生地ができるのに時間がかかったり、生地がゆるいので成型する時に扱いにくかったりと手間はかかります。バターではなく、オリーブオイルを使っているので、独特の風味があります。塩味が効いていて、そのままでも何か挟んでも美味しいです。ぜひご自宅のトースターで焼き直して食べてほしいですね。焼いていただくと、外がカリッとして中がしっとりした感じになりますので、より美味しくなると思います。あまりチャバタを作っている店が多くないからこそ、売れ筋ではなくても作り続けていきたいです。
——ワンちゃん向けのパンも商品化されたことがあったのですか?
はい。自宅で犬を飼っていて、ペットショップで販売されている犬用のパンは固いので、やわらかいものを作りたいなと。犬用には塩とか砂糖が使えないので、やわらかく仕上げるのがなかなか難しかったです。生地がゆるゆるになるので、行田市にちなんだ埴輪型を使って焼いてみたり、小麦の甘みを引き出そうと色々工夫しました。うちの犬には評判が良かったのですが、実際商品としては売れ行きがイマイチで…。時間が経つとベタついてしまう要因もあったかもしれません。今は、やめてしまいましたけど、挑戦自体は面白かったですね。
——開業してもうすぐ4年ですが、お客様の反応はどうですか?
お客様は、行田市や近隣の方が多いかなと思います。パンの好みの幅が結構広い印象で、以前働いていた神奈川のパン屋では、ハード系のパンが一番の売れ筋でしたが、行田ではハード系のパンも出ますが、やわらかいパンを好む方も多い気がします。もう少しお客様が入ってくれたら嬉しいですが、常連さんも増えてきているので、方向性は間違っていないかなと感じています。
——たくさんのパンを作るとなると、朝はとても早いのですか?
今は、朝4時半くらいから仕込み始めます。でも、うちのパンは割と前日に仕込むものも多くて、低温発酵させて焼いているので、前日の午後に仕込んで、翌朝から成型が始まります。食パンだけは朝から仕込んで焼いています。朝は一人で作業して、社員さんには8時くらいから来てもらっています。昔から結構長い時間働いてきたので慣れてはいますが、でも7月から社員さんが入ってきてくれたので、ちょっと楽になりましたね。
——ご苦労されていることはありますか?
材料の値上がりがだいぶしんどいですね!業者から毎月のように値上がりのお知らせが来て、意外と小麦粉よりも他のドライフルーツとかチョコレートの値上がりがすごいので大変です。開業以来、まだ一度もパンの値上げをしていませんが、近いうちにはさすがにちょっと上げなきゃなと思っています。
——今後の展望を教えてください!
9月中旬から焼き菓子を始めようと思っています。自分はあまり焼き菓子はできないので、社員さんにお任せして色々と試作中です。新たに焼き菓子用の棚を作ったりして準備しています。今は、定休日が月・火なので、ゆくゆくは火曜日を焼き菓子メインの日として、オープンしようと考えています。
pan prosper (パン プロスパー)
埼玉県行田市栄町15-27
048-514-1186
営業時間:10:00~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日:月曜・火曜
https://www.instagram.com/panprosper3