
支那そば くろ田
黒田 正巳 さん
事業内容
ラーメン専門店の経営
プロフィール
東京都品川区出身。高校時代から飲食業に携わり、煮干しラーメンの有名店「せたが屋」、ワンタン麺が名物の「八雲」などで修行を重ねる。2023年、縁もゆかりもなかった行田市に惚れ込み、「支那そば くろ田」を開業。丁寧な仕事と、繊細で奥深い味わいのラーメンが注目を集め、「ラーメンWalkerグランプリ 2024」で銅賞を獲得。現在は行田に暮らし、街に愛される店を目指して、情熱を注ぎ続けている。

——東京のご出身なんですね!
はい。生まれも育ちも東京の品川区です。中学高校とも地元で、仲間といるのが好きでした。高校時代から地元の中華料理店でアルバイトをしていて、飲食業の楽しさに目覚め、そのままずっと続けています。
——ラーメン店に惹かれたきっかけは?
まかないでラーメンを食べられるのが嬉しくて(笑)。ラーメンが大好きだったので、趣味を仕事にしたいという気持ちでした。20歳頃から履歴書には「将来はラーメン店を開業したい」とずっと書いていましたし、すべて「独立志望」で入社していました。ラーメン店の食べ歩きもずいぶんしましたね。
——修業時代のことを教えてください。
東京の煮干しラーメンの有名店「せたが屋」で修行し、その後はワンタン麺の名店「八雲」でも働きました。「せたが屋」は海外出店もしている有名店で、「八雲」はミシュランにも掲載されているほどの人気店です。最初の一年は、何も触らせてもらえないような、厳しい修行でしたね。

——なぜ行田で開業しようと思ったのですか?
当初は地元・東京で物件を探していたんですが、理想とする店舗がなかなか見つからなくて。自分の目が届く範囲の規模感を大切にしていたので、次第に埼玉・千葉へと範囲を広げたところ、最初に出てきたのが行田でした。
何だかピンときて、実際に行田に来てみると、この街並みや空気感がめちゃくちゃ好きだったので、「ここだ」と一発で決めました。
——開業までの準備期間はどのくらいでしたか?
「せたが屋」グループが経営する製麺所で働きながら開業準備を進めました。お店をオープンするまでに、一年弱かかりましたね。

——行田に知り合いはいなかったそうですね。
そうなんです。全くの一人で始めた感じです。宣伝も特にせず、とにかく地域の方に知ってもらって、しっぽりやろうと思っていたんですが、SNSにオープン告知をしたら予想の5倍くらいお客様が来てくださって。本当にありがたかったです。
——定番メニューを教えてください。
ラーメンとつけ麺、それぞれ「白(白醤油)」と「黒(濃口醤油)」の2種類があります。トッピングは、肉ワンタンと海老ワンタンですね。

——おすすめは?
「白の肉・海老ワンタン」です。月間で見ても一番よく出ていますね。海老ワンタンは好評のお声をいただいているので、海老が苦手でなければおすすめしたいです。
——ラーメン作りで特に大切にしていることは?
何よりも、一杯一杯、丁寧に。盛り付けやスープの温度管理、ワンタンの向きひとつまでこだわっています。食材も無添加で、その日のものはその日のうちに。チャーシューは温度を日によって調整し、ワンタンも鮮度を大事に、朝仕込んだ分だけをご提供しています。だから、売り切れてしまうこともあるんです。

——麺も特注だとか?
はい。オープン前に何十種類ものサンプルを試して、最も合う麺を選びました。

——期間限定メニューも人気ですよね。
やっぱりこの近辺では味わえないようなラーメンをお届けしたい気持ちで、季節ごとの限定メニューを考えています。夏は冷やし、冬は辛口など季節感を大切にしていますね。
——開業から一年半、お客様の反応はいかがですか?
周りの方々に支えられているなというのをひしひしと感じます。「〇〇さんに紹介されて来ました」というお客様もいまだにいらっしゃって、少しずつ想いが伝わっているのかなと嬉しく思っています。
——リピーターの方も多いのでは?
いらっしゃいますね!週6日営業しているうち、6日間すべて来てくださる方もいるんです。ほぼ同じメニューを頼んでくれて。ありがたい限りです。
——生活拠点も行田に移されたそうですが、住んでみての印象は?
移住して行田市民になりました。行田めちゃくちゃ好きです!夜の静けさとか、すごく気に入ってます。人も温かくて、周りの方に良くしていただいて。唯一きついのは、冬の赤城おろしですね(笑)。

——行田でお気に入りのお店はありますか?
「めんはうす健」さんですね。中華料理も好きで、お腹が空いている時に行くと、ガツンと満たされます。あとは、近所にある居酒屋「ザンビーニ」の金子さんとも仲良くさせてもらってます。
——黒田さんが、特に美味しいと感じたラーメン店があれば教えていただけますか?
こっちに来て1番美味いと思ったのは上尾にある「中華そば よしかわ」さんですね。鮮魚系のラーメンなんですけど、「黒」を食べて、美味すぎたのでその場で「白」を連食しましたもん。
——「ラーメンWalker グランプリ2024」で銅賞を受賞されましたね!
突然、掲載の連絡がきて驚きましたが、ありがたいことに反響もあります。雑誌に付いている味玉サービスクーポンも好評で、雑誌を見て来てくださった方も多いです。

——今後のメニュー展開は?
メニューは、この近辺では味わえないようなラーメンをどんどん出してきます。「ご飯ものは?」と聞かれることもありますけど、今後も麺一筋でいきます!両方やるのは、そんな簡単なものじゃないと思うので。
——ラーメンへの想いを改めてお願いします。
一杯です!麺とスープだけじゃなくて、一杯として味わってほしいです。ワンタンを食べた後に飲むスープは、口の中で味の印象が変わってきますし、スープが少し冷めてくると、また違った魚介の旨味がふわっと広がってくるんです。お店を静かな雰囲気にしているのも、そういった繊細な変化をじっくり味わってほしいから。スープは塩分控えめで無添加なので、最後まで飲み干してもらえたら嬉しいです。

——行田で開業を考えている人に、アドバイスをいただけますか?
「行田なんて…」って言う方もいますけど、俺はそんなことないってマジで思います。ちゃんとやれば人が来てくれる街だと思いますよ。だからこそ、真面目に、丁寧にやることが何より大事じゃないですかね。
——今後の目標は?
ずっと言っているのは「カップラーメンを出すこと」です。そのときには「行田」の名前を入れて、地域への恩返しにしたいと思っています。それには、もっと知名度や評価を得られる店になることが必要ですよね。まだまだ遠い道のりですが、いつかカップラーメンメーカーから声がかかるような存在になれるよう、これからもコツコツと日々を積み重ねていきます。

支那そば くろ田
行田市忍1-2-16
048-598-7300
営業時間:昼11:00〜14:30 /夜17:00~20:00
定休日:月曜定休日
水曜・日曜は昼営業のみ
※食材なくなり次第閉店あり
https://x.com/shinasobakuroda