心に寄り添う、ぬくもりのケア「みどりの丘」

人図鑑

みどりの丘
代表  山岸 克也 さん

事業内容
介護保険取り扱い通所介護(デイサービス)と鍼・灸・マッサージ治療院の運営
外出が困難な方への医療保険を使った訪問の鍼・灸・マッサージ

プロフィール
行田市生まれ。日本工業大学機械工学科卒業後、ベアリング会社に勤務。その後、父親の腰痛をきっかけに地元へ戻り、家業の釣り具製造を手伝う。時代と共に仕事が減少する中で、手に職をつけたいと考え、26歳で日本指圧専門学校に入学し資格を取得。平成9年に鍼・灸・マッサージ院を開業し、平成19年からはデイサービス「みどりの丘」を運営している。令和6年、自身の開発した運動器具「あしたまご」が関東甲信越ブロック理学療法士学会で発表される。

——この業界に入ろうと思ったきっかけは?

父の工場を手伝っていた頃、何か道具を使わずに、自分の手だけで生きていける仕事はないかと考えていた時に、当時「元気が出るテレビ」という番組によく出ていた浪越徳治郎さん見て、「これだ!」と思ったんです。不思議な縁を感じ、浪越さんの日本指圧専門学校に入学して資格を取りました。

——鍼・灸・マッサージ院からデイサービスを設立されたのはなぜですか?

開業当初は、寝たきりの方や障がい者の方への訪問マッサージが中心でした。しかし、その中で「もっと早い段階で何かできることはないか」と考えるようになったんです。そんな時、介護保険を使ったデイサービスがあることを知り、「これなら自分にもできる」と思い、デイサービスを始めることにしました。

——介護予防のサービスでもあるんですね!

はい。要介護状態にならないように、介護予防を目的としたサービスも行っています。

——介護予防をすることで、何か違いはありますか?

介護保険料の抑制や、利用者さんが自立した生活を送れるようになることが大きな違いですね。特に、一人暮らしの方にとっては、自宅で安心して過ごせる時間を長くすることができます。

——デイサービスに通うことの効果は?

家に閉じこもりがちな高齢者の方にとって、外に出ること自体が大きな刺激になります。他の利用者さんやスタッフとの交流を通して、心身ともに元気になっていただけていると感じています。

——「みどりの丘」の特徴を教えてください。

利用者さんが自宅にいるよりも安心して過ごせるよう、温かい雰囲気づくりを大切にしています。スタッフには、利用者さんと程よい距離感を保ちながらも、親身に寄り添って接するよう伝えています。

運動は、自宅でも続けやすい簡単なものを中心に行っていて、例えば、スクワットやボールを使った運動など、日常生活に取り入れやすい内容を選んでいます。

また、利用者さんに直接手を触れながら身体の状態を確認し、その方に合わせたケアを大切にしています。当施設のロゴマークは、私自身に男女の双子の子供がいることから、その小さな手をモチーフにデザインしました。ぬくもりのあるケアを象徴しています。

——特に力を入れていることは?

介護が必要な状態にならないためのサポートに力を入れていて、利用者さんの自宅環境のアドバイスや、福祉用具の選定、杖の長さ調整など、日常生活での困りごとを解消できるよう努めています。

——介護保険について分からない方も多いですよね。

そうですね。介護保険は、実際に利用する立場にならないと分からないことが多いと思いますよ。当施設では、介護保険に関するご家族からの相談にも応じています。

——1日の利用者数は?

1日に約45~50名の方が利用されています。要支援の方は2時間弱、要介護の方は3時間10分のコースで、それぞれ3交代制でサービスを提供しています。

——これまでやってきて、印象に残っていることはありますか?

利用者さんに「ここに来るのが生きがい」と言われたことですね。また、デイサービスに合わせて生活リズムを整え、身なりにも気を遣うようになったという方もいらっしゃいました。利用者のご家族の方も、引きこもりがちだった親が、元気になっていくのを喜んでくれたりして、そういうのを見聞きすると、やっていて良かったと思います。

——「あしたまご」という運動器具を開発されたきっかけは?

利用者さんと接していると、足の筋力や関節の動きが衰えることで、転倒リスクが高まっていくのを感じていました。そこで、「自宅でも簡単にできて、負担が少なく効果的な運動器具があれば」と思ったのが、開発のきっかけです。起き上がりこぼしのように、倒れても自然に戻ってくる構造になっており、足で前後に動かしたり、踏んだりすることで、足の筋肉を効果的に鍛えることができます。

——形状へのこだわりは?

試行錯誤を重ね、3年半かけて現在のたまご型にたどり着きました。たまご型にしたのは、倒れにくく安定感があるからです。また、見た目にも温かみがあり親しみやすいデザインになりました。「あしたまご」と名付け、弁理士さんに依頼して特許の取得と商標登録も済ませています。

——令和6年には、学会でも発表されたそうですね。

はい。ものつくり大学の先生を通じて、埼玉県立大学の理学療法士の先生とつながり、検証実験をしていただいたんです。その結果、大きな負荷をかけずに筋肉を活動させることができるため、転倒予防などに効果があると評価されて、令和6年に関東甲信越ブロック理学療法士学会で発表していただきました。

——それは素晴らしい成果ですね!現在は製作もご自身でされているのですか?

今は、僕がひとつひとつ手作業で木材を切り、塗装して、組み立てています。でも、ありがたいことに注文が増えてきて、自分だけでは追いつかなくなってきました。今は、欲しいという方がいても待っていてもらっている状態なんですよ。それで、今後は部品を外注で加工してもらい、最終的な組み立てと仕上げは自分でやる方向で準備しています。

——ものつくり大学さんとの連携も続いているそうですね。

はい。県北の介護職が集まる会議で、ものつくり大学の先生の講演を聞いたのがきっかけで、「あしたまご」の構想段階から相談に乗っていただき、埼玉県立大学での検証にも繋げていただきました。

今後は、ものつくり大学の加工機を利用して、「あしたまご」の部品製作をお願いできたらと思っています。学生さんにも協力してもらえたら嬉しいですね。

——人材育成で力を入れていることはありますか?

僕は、細かく指導するタイプではないので、スタッフに任せることが多いですが、利用者さんに優しく寄り添い、温かい雰囲気づくりを心がけるようには伝えています。また、ケアマネージャーさんなどからスタッフを褒めていただくことも多く、それをスタッフに伝えることでモチベーションアップに繋げていますよ。

——介護業界が抱える課題は?

やはり人手不足ですね。施設は増えても働き手がいない状況です。それに、制度が複雑化しているので、事業所側の負担も大きいです。もっとシンプルで運営しやすい仕組みが求められていると思います。

——地域社会との連携について教えてください。

市の地域ケア会議に積極的に参加し、ケアマネージャーや理学療法士などと情報交換を行っています。また、市役所の高齢者福祉課や地域の特別養護老人ホームなどとも連携し、地域全体の介護サービスの向上に努めています。

——57歳と伺いましたが、これからも長く現場に立ち続けたいという想いはありますか?

はい、57歳ですが、この仕事に定年はないと思っています。生涯現役で利用者さんに寄り添い続けたいですね。

——お休みの日はどのように過ごされていますか?

スキーが趣味で、日帰りで一人でも滑りに行きますよ。80歳になってもスキーを楽しめるくらい、元気でいたいですね。

——最後に、今後の展望や目標を教えてください。

これまで鍼・灸・マッサージの分野で活動してきましたが、機能回復はその延長線上にあると考えています。高齢者をはじめ、多くの方々が元気になれるよう支援したいという想いがあります。事業の方向性としても、この想いを反映させていきたいですね。

「あしたまご」が広がれば、医療機関との連携も視野に入れています。特に、リハビリ難民と呼ばれるような方々に対して、少しでも力になれたらと。ちょうど娘が医師になったこともあり、一緒に地域医療に貢献できたらいいなと考えています。

みどりの丘
行田市長野926-2
048-554-8804(代表)
営業日:月曜日~金曜日(土・日休み)
営業時間:午前8:00~午後5:30
https://www.midorinooka-ms.com

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