故郷の味ゼリーフライを求めて、いざ海賊船へ!「酒場ザンビーニ」

人図鑑

酒場ザンビーニ
金子尚志さん

事業内容
居酒屋「酒場ザンビーニ」とキッチンカー「田口豆腐店」の運営

プロフィール
行田生まれ行田育ち。行田市立忍中学校卒業後、吹上高校へ。高校在学時にスーパー「ベルク」行田長野店でアルバイトをして、卒業後は「株式会社ベルク」に就職。惣菜担当として15年間勤務し、オペレーションを学ぶ。退職後、大手居酒屋チェーンでの修行を経て、2020年11月「酒場ザンビーニ」を開業。

——どんな幼少期でしたか?

おばあちゃんが豆腐屋をやっていたので、学校帰りに寄っては、揚げたてのがんもどきをもらって食べていたのを思い出します。うちは早くに母が亡くなって、父も仕事で忙しかったので、すごくおばあちゃん子でした。今の居酒屋があるところの脇で、おばあちゃんが「田口豆腐店」を営んでいて、おじいちゃんがリアカーで市内を回って販売していました。もう豆腐店は無くなってしまいましたが、当時のことを今でも覚えていてくれる人もいるみたいです。

——料理するのは好きでしたか?

好きでしたね。高校生の時、ベルク行田長野店でアルバイトしていて、そのまま社員になりました。ずっと惣菜担当で、熊谷・東松山・羽生・鶴ヶ島と色々な店舗で働きました。惣菜を作ったり、材料を発注したり、パートさんのフォローをしたり…。自分で何かを生み出すことはできなかったですけど、そこで学んだオペレーションは今でも役立っていると思います。

——自分の店をやってみようと思ったきっかけは?

20代の頃から居酒屋が好きで、いつかは自分の店を持ちたいと思っていました。35歳までには独立しようと考え始め、2019年3月に退職しました。ベルクを辞めてすぐ、壁紙の配達の仕事をしながら、大宮の大手居酒屋チェーンへ修行に行きました。そこは全国で2番目に忙しいと言われる店で、もうひっきりなしにオーダーがくるんですよね。24時間営業で、昼も夜も忙しく働きましたが、3ヶ月後に本格的なコロナ禍になってしまったんです。営業も縮小されてしまい、トータルで半年くらいお世話になりましたが、これなら自分で店を開いたほうがいいと思って、2020年の11月に「酒場ザンビーニ」を開業しました。

——この近辺では珍しい、海賊をお店のコンセプトにしたのは?

ベルクで働いていた当時、後輩のサイトウ君がディズニーシーのレストランで働いた経験があって詳しかったので、男2人でディズニーシーへ行ったんです。それがまた意外と楽しかったんですよ!すっかりハマって、コロナ前は年間60日ディズニーシーに通い、海賊ショーの追っかけをやっていましたね。そんな海賊ショーの雰囲気を自分の店でも作りたいと思いました。内装は一度作ったらなかなか変えられないので、結構こだわりましたね。

——こだわりポイントは?

海賊たちが隠れ家で酒盛りしているような雰囲気を出したかったので、照明はあえてちょっと暗めにして、樽を置いたり、鎖やロープや地図などで装飾しています。ガス・水道の配管や大がかりな工事は業者さんにお願いしましたが、装飾などは自分でほぼ作りました。周りの友人もたくさん手伝ってくれました。

——人気メニューは何ですか?

やっぱり唐揚げですかね。衣に行田在来の青大豆を使っていて、タレと合わせて漬け込んでいます。柔らかくなりますね。お酒のつまみにもなりますし、お子さんでも美味しく食べられるようにちょうどいい感じに仕上がるよう工夫しています。

あとは、ポテ壺サラダというメニューがあって、壺にポテトを入れて具を上にのせて提供し、お客さんに壺の中で混ぜてもらって、ポテトサラダにする感じです。自分で混ぜるのが楽しいと評判ですね。その他に、ゼリーフライや軟骨つくねも人気です。

——どんなお客様が多いですか?

25歳から50歳くらいまで、結構幅広いです。リピーターさんが8割くらいかな。キッチンカーの効果が出てきたのか、キッチンカーをきっかけに居酒屋の方に来店してくれるかたも増えてきました。ダーツも店内に置いてあるので、常連さんはダーツで遊んでいますね。

——キッチンカーのことも教えてください!

2023年からおばあちゃん家の屋号「田口豆腐店」という名前のキッチンカーで出店しています。開業して間もないお店向けの創業支援の補助金を活用して、外にも攻めていけるようなスタイルで、居酒屋とキッチンカーの2本柱で経営を強く支えていけるようにと考えました。

——どんな所で出店されていますか?

定期的なのは、春と秋に行われる加須花咲公園のイベントです。市内だと、行田の浮き城まつり・古墳フェスティバル・商工会議所のところでのイベントなどかな。あとは月2回、行田市役所でもお弁当で出店しています。

——キッチンカーでの販売メニューは?

行田のゼリーフライキッチンカーとして出店していますので、イベントの内容や客層によって多少変えたりしますが、ゼリーフライとから揚げをメインメニューにしています。うちのゼリーフライは少し野菜多めで、じゃがいもを粗くつぶして食感を出しているのが特徴です。それは昔からおじいちゃんのこだわりだったそうなんです。それぞれのお店で特徴があるので、ぜひうちのゼリーフライも一回食べてみてもらいたいですね。

——キッチンカー同士の交流ってありますか?

ありますね。横の繋がりで、ここが空いているらしいから出る?みたいな。どんな商品が売れるとか、情報交換したりしますよ。キッチンカーを通じて知り合った人から、自分の知識外の部分で力を借りられたり、そういう人の輪ができたのはめちゃくちゃ良かったなって思います。

——思い出のエピソードは?

一番楽しかったのは、ウニクス鴻巣の支配人さんとの共同企画で、キッチンカー使って迷路をつくってイベントやろうっていう話があり、参加させてもらいました。総勢25台以上のキッチンカーが並び、こんなにも集まるんだ!って圧巻でしたね。

——居酒屋とキッチンカーの違いって何でしょう?

居酒屋は待っている商売ですけど、キッチンカーだったら自分たちで出向くことができますよね。攻めに出れるみたいな。たくさん売れるとよし!となりますけど、もちろん失敗もあります。あるイベントに行ってみたけど、お客さんがいなくて赤字になっちゃったり…。それもこれも経験ですよね。売上一日で3000円っていう日もありましたよ。

——お一人でお店とキッチンカーを切り盛りされているのですか?

基本は一人なんですけど、アルバイトさんが8人くらいいて、忙しい週末にお店に入ってもらったり、キッチンカーやイベントにも入ってもらっています。積極的に働いてくれてすごく助かっています。アルバイトさんには、まかないをなるべく変わったものを出そうと思っていて、「まかないめちゃくちゃ美味いっす!」って喜んでくれるから、作り甲斐がありますよね。今度はあれをちょっと試しに作ってみようかなとか。

——開業して5年目に入りましたが、振り返ってみてどうですか?

実際はコロナの期間が1年半あったので、実質2年目ぐらいの気持ちでやっています。おおまかな年間の流れも掴んできて、お客様も増えてきて、少しずつ良くなってきています。

——お休みの日はどんな風に過ごしますか?

休みの日は合気道をやっています。行田のグリーンアリーナで13年程やっていて。始めたのは26歳の頃ですが、離れて暮らす娘がいて、娘が大きくなって会いに来てくれた時に何も持っていない自分は嫌だなって思ったのがきっかけです。若い頃ジャッキー・チェンが好きだったし、日本でやるんだったら合気道かなと思って。体験に行ったら、その先生が凄くてですね、今でもお世話になっています。今は三段で、四段を目指して修行中です。その他には時間がたまにできた時、上野へ行って立ち飲みして、メニューのヒントを得たりしています。

——今後の展望がありましたら教えてください!

居酒屋のほうは、もう少しお客さんが増えてくれたら嬉しいですね。店の裏にもう一部屋あって、そこを今片づけているので、うまく活用していけたらと思っています。

そして、今年から「行田フライ・ゼリーフライ友の会」の会長を任せてもらえることになりそうなんです。ゼリーフライ屋の店主さん達も高齢化してきているので、どんな事で困っているかお聞きして、そこを解決できるようにしていけたらなと思っています。

ゼリーフライを販売している個人店も減ってきてしまっている現状で、ゼリーフライを残していきたいですよね。市内のスーパーなどで、もっと気軽に美味しいゼリーフライが買えるようなシステムを作れないかと考えていて。去年、自分は12,000個のゼリーフライを作りましたけど、一人で作るのは本当に大変で限界があります。監修してシステム的にできたらという想いもありますが、長いスパンで取り組んでいきたいですね。

——ゼリーフライ愛ですね!

ゼリーフライ好きです!昔はそんなでもなかったですけど、やり始めてから好きになりました。今日も200個作ってきましたよ。幅広いお客さんにゼリーフライを食べてもらいたいな。自分は基本居酒屋なので、飲食を通じてこれからも行田を盛り上げていきたいなと思っています。

酒場ザンビーニ(キッチンカー田口豆腐店)

行田市忍1-3-12
080-5990-3320
営業時間:17:00~23:30(L.O.23:00)
定休日:火曜日
https://www.instagram.com/sakaba.zambini.3b2

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