笑顔ほころぶ、カレーの香るひととき「ふじたや」

人図鑑

ふじたや 
藤田 久美子 さん

事業内容
オリジナルスープカレー店の経営

プロフィール
行田生まれ行田育ち。鴻巣在住。高校卒業後、熊谷の医薬品問屋で3年勤務の後、医療事務として30年間働く。母の介護をきっかけに実家を改装し、長年の夢だったカレー店「ふじたや」を2022年7月に開業。スープカレーを中心に、独自のカレーを追求している。

——どんな幼少期でしたか?

両親が共働きだったので、小さいころは学校の帰りに祖父母の家に寄って、祖母のご飯を食べて育ちました。だから、カレー以外の料理はだいたい祖母仕込み。今お店で出している、もつ煮や卵焼きなども全部おばあちゃんの味なんですよ。

——料理は昔から好きだったんですか?

子供の頃は作っていなかったです。でも、大人になって料理をするようになったら、「あれ?おばあちゃんの味だな」って気づいて。

——カレーを追求するきっかけになった出会いもあったんですよね。

夫の仕事関係で知り合ったインド人の方が、家庭のカレーを作ってくれたんです。作っているところを近くで見ていて、大まかな分量などをメモさせてもらいました。そのカレーがヒリヒリするぐらい辛かったんですけど、本当に美味しくて。それを家族に食べさせたいと思って、辛さを抑えてアレンジしたのが始まりです。20年くらい前ですね。その後も、自分なりに試行錯誤しながらカレーを作り続けました。

——カレー作りでこだわったポイントは?

私は外食でカレーをほとんど食べたことがないんです。だから、どこかの真似ではなく、純粋に「自分の好きな味」を追求しました。最初に教わったチキンカレーという原点はブレずに、辛さを抑えつつもスパイスは減らしすぎないようにこだわっています。
インド風のスパイスが効いているのに辛くない、他にはないスープカレーで、小麦粉を使っていないグルテンフリーです。鶏肉とトマトと玉ねぎがメインなので、とてもヘルシーだと思います。

——お店を開こうと思った経緯は?

周りの人に「食べたい」って言われることが増えて、もっと知らない人にも食べてもらいたいなと思い始めたんです。いつかお店ができたらいいなと思っていたところに、母の介護と両立できるタイミングも重なって、実家で開業することにしました。

——ご実家の改装はご自身で?

はい。でも、私は「こういう風にしたい!」とイメージを伝えるだけ(笑)。夫が全部材料を揃えて、工夫しながら形にしてくれました。

——ご主人の博明(ひろあき)さんにもお話を聞いてみましょう。ご苦労された点は?

博明さん:一番大変だったのは、壁かな。洗剤で汚れを落とすところから始めて、数工程かけて、もともとはクロス張りだったものを漆喰に塗り替えました。

——もともとそういうお仕事を?

博明さん:いやいや、全然!この30年は運転手をしていました。若い頃ちょっとだけ職人の世界にいたんですよね。その経験がちょっと活きたかな。
運転手として働きながら、改装を進めていたんですが、ふじたやをオープンする一か月くらい前に、諸事情で会社を辞めることになって…。ちょうどいいタイミングだったので、そのままお店を一緒にやることになったんです。

——久美子さんが最初にイメージしたのは、どんなお店でしたか?

和モダンを目指していたんですけど、プレゼントでもらったものを飾っているうちに、色々混ざっちゃいましたね(笑)。

——オープンしてからの営業スタイルは?

「ふじたや」は2022年7月にオープンしました。当初はコロナ禍ということもあり、ランチのテイクアウト専門で始めようと考えていたんです。でも、改装を手伝ってくれた友人から「いつから中で食べられるの?」と聞かれて。夫も一緒にお店をやってくれることになったし、結局イートインの一日営業としてスタートしました。

——心配なことはなかったですか?

正直、収入面が一番不安でした。でも、それよりも「やってみたい!」っていう気持ちの方が強かったですね。50代に入って、これからはもう自分好きなことをやっていこうかなと。それに母の介護があるからこそ、実家で自分のペースで両立していこうと決めたんです。

——ふじたやさんのメニューについて教えてください。

メインはスープカレーです!開業した時はスープカレーしかなかったんですよ。今考えるとすごい無謀でしたね(笑)。今は、スープカレーをアレンジした炙りチーズカレーと、キーマカレーもメニューに加わりました。
サイズは5段階、辛さは4段階。トッピングも色々選べます。人気の組み合わせは、炙りチーズ+ハンバーグ+ゆで卵ですかね。私の推しは、ほうれん草とハンバーグ!
最近は、スープカレーとキーマカレーを両方食べられる「どっちもカレーセット」を始めたので、こちらもお勧めですよ。

——スープカレーとキーマカレーの違いは?

キーマは辛くないです。辛いのが苦手な方でも食べられるように、マイルドに仕上げています。辛さを足したい人には、後がけのスパイスもあります。

——お店の雰囲気作りで意識していることは?

私はちょっと人見知りなんですけど、夫は誰にでも気さくに話しかけるので、初めてでも緊張しないお店になっていると思います。外観が普通の家なので入りにくいかもしれませんが、入ったら安心してもらえるような雰囲気を作るように心がけています。

——店内のガンダムも気になります。

博明さん:最初は自分のザク一体だけだったんだけど、お客さんが「ここに飾っていい?」って。今では3組のお客さんのガンプラコーナーになってます(笑)。

——入口の会計システムがユニークですね!

娘が考えてくれたんですよ。最初に注文票に書いてもらって、先に会計を済ませる仕組み。注文ミスも減るし、帰りもスムーズです。ただ、辛さって人によって感じ方が違うし、サイズもうちは「小」が一般的な並の量で、「中」だと定食屋さんの大盛の量になっちゃうので、なるべく丁寧に説明しています。

——イベント出店もされていますよね?

市内の居酒屋「ザンビーニ」の船長や、キッチンカーの「はあと」さんに誘っていただいたのがきっかけです。誘われたら出るっていう感じですね。ただ、私たちはキッチンカーじゃないので、設置が大掛かりで大変…。発電機も使うので、出店できる場所が限られるんです。なるべく出店できる条件のときは、出たいなと思ってやっています。

——テイクアウトの容器にもこだわりが?

容器によっては、カレーを継ぐと持っている手が熱いんですよ。それって、お客さんも熱いわけじゃないですか。なので、カレーをついでも熱くない発砲スチロール系の容器にしています。レンジで温めもできます。

——マルシェやバルの開催も?

ふじたやマルシェは、「絵描き えみ」さんが主催してくれています。もともとSNSでよく拝見していたえみさんを、あるイベントでお見掛けして、勇気を出して声をかけたのがきっかけです。えみさんも辛いものが大好きで、よくお店に来てくれて仲良くなり、マルシェの開催を提案してもらって、お願いすることに。だいたい月一回、不定期で開催しています。

バルは、お酒好きのママ友の発案で始まりました。バルの時は、その友達がメインでママをやってくれて、私はつまみやおかずメニューの担当です。スパイスを使ったおつまみや、煮物や豚汁みたいな家庭的なおかずを出しています。こちらも月一回のペースでやっています。お酒好きが集まり、アットホームでわいわい楽しいですよ!

——定休日はありますか?

基本不定休です。木曜日の夜の部だけは定休にして、あとはイベント出店やマルシェなどの都合で、月曜と火曜を交互に休みを入れるようにしていますね。お休みの曜日を固定にしちゃうと、ずっと来れない人がいるじゃないですか。お休みを変えることで、来れる人がいるので、定休にはしたくないんです。

——開業してもうすぐ3年。振り返ってみてどうですか?

まだ「振り返る」っていうほどの時間は経ってない気がしますね。今もまだまだ、手探りの毎日です。もともと宣伝もほとんどしないで始めたので、最初のころはお客さんが全然来ない日もありました。でも、もう怖いものはないです。「じわじわでいい」って思っていたので。日々、少しずつは成長できているかな。

それに、お店を始めてから本当にたくさんの人と出会えて、色んな考え方に触れられたのがすごく楽しいです。そういう人との繋がりが、一番の財産だなって感じています。

——今、ご苦労されていることは?

博明さん:苦労しているのは集客ですね。集客を上げるためには、自分としては配達を増やしたい。市役所方面は、よく配達に行っているんですけど、その周辺の配達が毎日あるとありがたいですよね。材料費の高騰で今は本当に大変だけど、毎日食べられるカレーにしたいので値段を高くしたくないんです。配達の数が増えてくれば、今の価格で何とか頑張っていけるので、そこを伸ばしていきたいですね。

——お店を営む中で、久美子さんが一番嬉しい瞬間・自分らしくいられる瞬間は?

それはもう、初めて来たお客さんが一口目食べた時に、「美味しい」っていう反応があったときの瞬間が一番嬉しいですよね。厨房にいて、反応が聞こえてきたときには、「ありがとうございます!」って言っちゃいます。

自分らしいといえば、私はお客さんを巻き込むのが得意なんですよ。内装を直してもらうのとか、マルシェやるのも、バルにしても…一緒にやろう!って。どんどん人を巻き込んで何かをやっている時は、私らしいかなと思いますね。みんな快く手伝ってくれることが多くて、人に恵まれていると思います。本当にありがたいですね。

——お休みの日はどんなふうに過ごしますか?

休みの日は家のことが多いかな。あとは、孫が3人いるので、孫たちと遊ぶのが一番楽しいです。息抜きというか、今の生きがいですね。

——カレーはさらにまた進化する予定ですか?

スタートのスープカレーは変えたくないですね。そこを変えちゃうと、うちじゃなくなっちゃうから。でも、サイドのメニューなどは進化していくかもしれないです。

——今後の展望がありましたら教えてください!

夏場のイベント出店は、暑さの影響から食中毒などの問題も多くて、なかなか出にくいんですよ。なので、スープカレーじゃない、夏場のイベントでも出せるメニューを開発したいですね。例えば冷たくて美味しいカレーのメニュ―があったらいいなって。また、今は月一回のバルですけど、普段もお酒を飲めるように、もう少し展開していきたいと思っています。

民家っていう感じの外観なので、入りにくいと思うんですけど、ちょっとだけ勇気を出して入ってきてもらえたら嬉しいです。カレーを食べてもらって、私たちのキャラを知ってもらえば、きっと気軽に友達感覚で来てもらえると思うので、美味しいカレーをご用意して待っています!

ふじたや
行田市若小玉1539-1
048-554-6056
営業時間:昼11:00~14:00 / 夜17:00~20:00
定休日:不定休(木曜夜の部は定休)

※営業スケジュールはSNSでご確認ください
https://www.instagram.com/fujita_ya12
https://x.com/fujita_ya12

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